SPF材は常緑針葉樹の総称のソフトウッドの混合材です。
その4つの特徴は、
① 木材が軟らかく
② 色は明るく淡色系
③ 木目がはっきりしている
④ 耐水性が低いなど。
結論から言いますと、
これらの特徴を生かすSPF材の塗装は、ステイン・オイル・ワックスの浸透系塗料が美しい。
●『DIY初心者です。人気のSPF材ツーバイフォーで棚を作ったので、塗装しようかと思います。ベタッと木目を隠さないで、木目を生かした棚板にしたいのですが、SPF材塗装に合った塗料と塗り方がわからないので困っています。』
今回は、このようなお悩みにお答えいたします。
ちなみに【室外でのSPF材塗装】や【SPF材】については関連記事をお読みください。
関連記事
『SPF材の塗装で屋外にいいのは?キシラデコールがおすすめ!』
『ホワイトウッドとSPF木材って?失敗しない5つの選び方とは?』
『木目を生かす塗料とは?ステインやオイルがなぜ美しいのか解説!』
【SPF材塗装】は、どの種類の塗料がいいのでしょうか?
室内DIYで人気のおもな塗料の
【ペンキ】・【ニス】・【ワックス】・【ステイン】・【オイル】を塗装した場合に、
前出のSPF材の4つの特徴と塗料の特徴が合い、
それぞれの持ち味を生かす塗料はどれでしょうか?
ステイン・オイル・ワックスの浸透系塗料が美しいと結論づけていますが、
なぜ美しいのでしょうか?
1 SPF材(常緑針葉樹)を塗装するには、どんな特徴を生かせばいいのか?
冒頭でも言いましたが、SPF材は、常緑針葉樹の総称です。
なので、常緑針葉樹の特徴を調べてみると効果的な塗装方法がわかります。
SPF材(常緑針葉樹)の4つの特徴と塗装方法は?
木材の特徴を知ることで、最適な塗料を選択できます。
1.SPF材(針葉樹)は木材が軟らかく、「ソフトウッド」と呼ばれています
塗装方法は、塗膜は薄く、つや消し仕上げをすると、見た目の軟らかさが失われずにソフトウッドの特徴を生かせます。
SPF材塗装のおすすめ・・・【ワックス】・【オイル】
2.SPF材(針葉樹)の色は明るく淡色系の樹種が多い
ソフトウッドの特徴を生かすには明るい仕上げが適しています。
着色をしなくても美しいですが、着色したとしても薄めの着色が一般的です。
SPF材塗装のおすすめ・・・【ワックス】・【ステイン】・【オイル】
3.SPF材(針葉樹)は木目(年輪)がはっきりしている
木目を生かす濃度変化が美しさの要因となっています。
SPF材(針葉樹)の早材(そうざい)(夏目)は春から夏にかけて形成された年輪の粗くやわらかい層にあたるもので、晩材(ばんざい)(冬目)に比べて細胞が大形で細胞壁も薄く、次第に晩材に移行する。
晩材は木材の質が密で濃色の部分のところ。
早材部分はステイン(着色剤)やオイルの浸透系塗料が、密度が低いため、多く吸い込みます。
逆に晩材部分は密度が低いため、あまり吸い込みません。
夏目と冬目で吸い込むステイン・オイルの量が異なるため、木目がはっきりと際立たせることが出来ます。
このように塗料や着色剤の浸透などの差が大きい特徴から、木目を生かした仕上げが人気です。
SPF材の木目は比較的まっすぐ通っていますが、着色ムラを起こしやすい木材でもあります。
SPF材塗装のおすすめ・・・・【ワックス】・【ステイン】・【オイル】・【ニス】
4.SPF材は耐水性が低い
室内利用には最適な木材ですが、耐水性が低いので屋外で使用する際は防腐処理が必要です。
SPF材ばかりではありませんが、木材は木の呼吸による伸縮が引き起こす変形の曲がり・ねじれ・反り・割れなども起こります。
空気中の水分を吸ったり吐いたりする無垢ならではの木の呼吸による伸縮が引き起こす変形で、曲がり・ねじれ・反り・割れなども起こります。
SPF材塗装のおすすめ・・・【室内DIYでのSPF材塗装】の場合
【ペンキ】は油性調合ペイント(OP)や合成樹脂調合ペイント(SOP)で塗膜で木材を保護します。
【ニス】は、塗膜が強力で木材を保護します。
【ワックス】は造膜型塗料の塗装面の保護用もしくは単独で含浸用としても使用されています。
ニスなどを塗って木の呼吸を止めることで変形を防止できますが、せっかくの無垢材の素朴な質感は失われてしまいます。
関連記事
『木材塗料どれがいい?DIY初心者にはおもな5種類と違いをご紹介!』
2 室内でのSPF材塗装のおもな塗料の解説
SPF材・ホワイトウッド材で、室内用のDIY品を作る場合は腐食の心配がほとんどありません。
ですから、SPF材のワンバイ材・ツーバイ材をそのままでもいいですが、より作品をグレードアップするなら塗装をしましょう。
塗装は作品の最後のお化粧なので、予め計画的に考えておくことも大切です。
よく言われていることに、
『塗装』とは、『塗料』を『塗膜(とまく)』に変える工程のことだと言います。
塗膜(とまく)とは、塗料を塗って、乾燥後に、硬化した状態のこと。コーティングです。
簡単に言うと、
塗膜になる塗膜成分(樹脂の主成分)配合か、そうでない非塗膜成分かの違いです。
塗膜成分配合で木材の表面に膜を張るペンキ・ワックス・ニス の造膜型塗料(ぞうまくがたとりょう)
非塗膜成分で木材の内部に染み込み浸透するステインやオイル ワックスも浸透型塗料(しんとうがたとりょう)
SPF材塗装は、DIYで人気のある木材塗料の【ペンキ】・【ニス】・【ワックス】・【ステイン】・【オイル】で大丈夫ですが、下記を参考にそれぞれの塗料の目的に合わせてSPF材塗装をしましょう。
3 【ペンキ】SPF材を塗膜塗装
はっきりとした色でSPF材の木目を塗膜で覆い隠します。
樹脂に水(水性)や油(油性)を混ぜたもので、乾燥後に強い樹脂の膜を形成する造膜型塗料です。
着色塗料で、膜を作って不透明な仕上がりになる塗料。
下地が透けて見えない仕上がり、いわゆるエナメル仕上げになる塗料のことをいいます。
4 【ニス】SPF材を硬い塗膜塗装
SPF材の下地がきれいに透けて見える光沢のある仕上がりになる塗料です。
基本的に透明の硬い樹脂塗膜を作る造膜型塗料。
透明で色が付くわけではありませんので、SPF材の木目を生かすことができます。
着色を行う場合は、ニスを塗装する前に着色剤のステインで着色し、クリア色のニスを上塗りすることをお勧めします。
「カラーニス」という言葉もありますが、ニスに着色剤がすでに混ぜ合わされており、一回塗るだけで着色が出来てかつ光沢のある仕上がりになる塗料のことを言います。
最も塗膜の保護効果の高い塗料です。
仕上げとしてウレタンニスも併用
ウレタンニスは着色目的ではなく保護剤として使用します。
ペンキやワックス、ウレタンニスなどは、SPF材の表面へ膜を覆う塗料なので、木目などを覆ってしまうので木目の風合いがなくなるデメリットがあります。
SPF材の木目の風合いを透明に残しつつ、木材の表面へ膜を張るかたちでペイントする場合はブライワックスやアンティークワックスが適しています。
5 【ステイン】SPF材塗装におすすめ!!
ステインは、SPF材の表面へ塗膜を張らずに、内部へ染み込むことが特徴になります。
ステインは着色剤で塗料ではありません。
ステインもカラーバリエーションがあり、ステイン着色剤にも溶剤の違いで、水性と油性があります。
ステインを薄めたり洗ったりする場合、水性は水で、油性は専用のうすめ液を使います。
塗料特有の臭いは、水性はあまり臭くなく、油性は強い臭いです。
重要なのは、ステインは着色剤なので、保護膜を形成しません。
ステインを塗っただけでは触れた服に色が移ったり、水拭きをすると色が落ちたりすることがあります。
なので、ワックスやクリアー剤を上塗りする必要があります。
保護をするには、上からニスを塗るか、オイル仕上げを行う必要があると言うことです。
おすすめ商品 オイルステイン
ニッペホーム オイルステイン
色は5色。容量は125ml、250ml、750mlの3種類。
オイルステインらしいツヤが人気です。
参考メーカー価格 1,080円(税込)~
おすすめ商品 水性ステイン
アサヒペン 水性ステイン 300mL (ウォルナット)
参考メーカー価格 920円(税込)~
アサヒペン 水性ステイン 1000mL (ウォルナット)
参考メーカー価格 1,982円(税込)~
色は8色。容量は300ml、1000ml、2000mlの3種類。
特長
浸透性に優れ、SPF材の美しい木目に仕上がります。(特殊顔料使用)
上塗りが不要です。そのまま仕上げることが出来ます。
保護の目的でラッカー系、ポリウレタン系ニスの上塗りも可能です。
水性の方が油性よりもカラーの数が多い上に、違うカラーを混ぜ合わせて使うことが可能なので細かな色合いによる表現の幅が広がります。
水性にツヤは出ませんが、油性はきれいなツヤが出ます。
水性オイルステイン
水性オイルステインは、水性のステインながらも、油性ならではの美しい仕上がりになるといった優れものの種類になります。
特徴は、
1. SPF材の木の質感をそのままのこせる。
2. 溶剤の臭いが少ない
3. 色ムラになりづらい
4. 色味を好きに変えられる
ステイン着色剤は前出の通り、
内部へ染み込むので木の風合いを残せますが、保護する効果はないので、劣化防止の保護剤として仕上げ剤を組み合わせます。
水性オイルステイン water-based OIL STAIN 125ml
色は6色。
参考メーカー価格 948円(税込)~
木目の自然の美しさを生かした、鮮やかな着色仕上げができます。
木材に対して強い浸透性を持っており、「そまり」が非常によく、木目を荒らしません。
木材の浸透力に優れていますので、ざらついた木材でも、ムラなく染めることができます。
ステイン着色剤とワックスを組み合わせましょう
やり方は、先にステインをペイントし、十分に乾かしてからワックスを塗り込み、しっかりと磨きます。
そしてまた上からワックスを塗ってよく磨くことを繰り返せば、重厚さが増していきます。
6 【オイル】SPF材塗装におすすめ!!
オイルフィニッシュは、酸素に反応して固まる性質を持つ油をSPF材に染み込ませて、SPF材の内部で固めて保護します。
拭き上げることで表面にニスのような膜を作らず、木の手触りと質感を生かす仕上げのことを言います。
保護効果は弱いが「内部塗膜あり、木目を生かした仕上げ」になります。
ワトコオイル がおすすめ
おすすめのワトコオイルとは、イギリスで生まれた木材用の塗料で、ワトコオイルに使われている成分の亜麻仁油(アマニゆ、アマニあぶら)は、成熟した亜麻の種子から得られる、黄色っぽい乾性油。
なので、
ホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群の原因となる成分を含んでおらず、安心して使える塗料です。
SPF材に浸透して内部に塗膜を作り、木材表面には塗膜をつくらない仕上げができます。
色は8色あります。
使用方法
使い方は「ニス」に近いので刷毛やオイルの入れ物が必要になります。
初心者のあなたは、ワトコオイルを塗るためのセットがあるので、これをおすすめします。
刷毛でSPF材の木目に沿って塗り広げ、15~30分後に余分なオイルを綿布で拭き取る。
より良い仕上げにするためには、濡れた状態のまま280~400程度の耐水ペーパーで研磨して、乾燥後ワックスで仕上げる。
その他、
布ウエスにそのままワトコオイルを染み込ませ、拭くように塗装するのもなかなか素敵ですが、1回塗りだと少し薄く感じる方もいらっしゃるので、その場合は乾いてからもう1回塗って見るといいでしょう。
7 【ワックス】SPF材塗装におすすめ!!
ワックスは、固形のものや液状のものもありますが、基本的にバターのような塗料で、塗り方もバターのように薄く塗りこむだけ。着色も可能な仕上げ材です。
SPF材内部に少しだけ浸透し、表面に薄い膜を形成します。
つや出しや、木材の過度の乾燥を防ぎます。
木の表面にとどまって汚れから守る塗装です。
濡れ色にならず、無塗装に近いさらっとした仕上がりで、ステインほど浸透性はありませんが、ステインより厚い保護膜を形成し、なめらかな質感を出すことができます。
ワックスと言うとBRIWAX(ブライワックス)〔イギリス〕が有名です。
ヨーロッパで最も優れた木製家具用ワックスでおなじみのDIY人気のBRIWAX(ブライワックス)は天然の蜜蝋(ミツロウ)、着色剤、オイル、有機溶剤等からなるカラーワックスです。
ミツロウワックスは動物性のワックスに分類されますが、ミツロウはミツバチの巣を構成する蝋(ロウ)を精製したものをいいます。
使用方法
1)ワックス(本製品)を塗る前に。ワックスなどが付かないように作業テーブルなどの養生をします。
2)SPF材の木目に沿ってサンドペーパー等を使ってヤスリがけをして、汚れを落とし、凹凸を無くします。
3)絞ったタオルなどで、ヤスリ掛けのホコリを拭き取ります。
4)SPF材の木目に沿って、スポンジかウエスを使用し、ワックス(本製品)を擦り込むように塗ります。
5)約15~30分で定着しますので、乾いた布を使用し木目に沿って磨きます。
季節や気温などにより定着時間は変わります。特に夏場は涼しい場所にて乾かして下さい。
6)思ったような光沢が得られない場合は2度塗りをして下さい。
7)必要であれば2度塗りをします。約15~30分で定着しますので、乾いた布を使用し木目に沿って磨きます。
8 まとめ
DIYで人気のあるSPF材塗装について、【室内DIYでのSPF材塗装】を解説しました。
【ペンキ】、【ニス】、【ワックス】、【ステイン】、【オイル】の5種類を例に挙げて、それぞれの特性の違いを知ることで、目的に応じて塗料を選択をすると失敗がありません。
常緑針葉樹の総称でソフトウッドの混合材であるSPF材の特徴から、【ワックス】、【ステイン】、【オイル】などがおすすめな塗装方法になります。
【ペンキ】や【ニス】は塗膜を作る塗料でしたね。目的に合わせて選びましょう。
初心者の方がSPF材塗装をする際、作品の仕上りをイメージして目的の塗料をお選びください。
SPF材の塗装では、木目を生かしたアンティーク調の塗装が素敵で人気です。
【ステイン】と【ワックス】は『木目表現』できるという点では同じような感じですが、ステインは木材に染み込んで色をつけるもの、ワックスは木材の表面に色の塗膜を作るという点でまったく違う塗料でしたね。
DIY塗装で人気の『ブライワックスの塗り方』がSPF材できるようになり、『ウレタンニスの塗り方』も上手になりたいですよね。
また、本物思考の人達に人気のあるオイル塗料の『ワトコオイル』もSPF材塗装で楽しめます。
選んだ塗料で、『塗膜』ができるかできないかの判断は、『製品の説明書き』をよく読むことです。
木材を保護すると書いてあれば保護しますし、書いていなければ保護しません。
書いてある効果が全てです。
SPF材塗装の基本を身に着けて、素敵な作品を楽しんで作ってください。
以上です。
DIYであなたのDIY作品に参考になれば幸いです。
では、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
DIYネットサンク代表 ノマー